【基礎知識】分散投資でリターンに対するリスクを改善!本当にそのポートフォリオは分散できてる?

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うさぎくん
うさぎくん

ふくろうさん、ぼくついに日本株デビューしちゃいました!

まずは5銘柄買ってみました。なんとあのバフェットも買った銘柄なんですよ♪

ふくろうさん
ふくろうさん

三菱商事、丸紅、伊藤忠・・・って5大総合商社をセットで買ったの!?

ちゃんと分散しなきゃダメじゃない!

分散投資にはリスクを下げる効果が備わっているため、個別株に投資する場合はこの概念が非常に重要になります。インデックスファンドに投資されている方はすでに分散済みという場合がほとんどですが、なぜ分散されている必要があるのかを知ることはインデックス投資の利点が理解でき、自信を持った運用につながるはずです。

こんな方におすすめの記事です。

  • 日本株・外国株を問わず個別株に投資している方
  • インデックス投資の利点を確認したい方
  • 投資を基礎から理解したい方
  • 集中投資と分散投資を比較したい方

50年前の本にも分散投資の重要性が語られている

「卵を一つのカゴに盛るな」などと分散投資の重要性は昔から言われ続けています。管理人が持っている投資本で一番古いものが、原書が1972年に書かれたベンジャミン・グレアム(ウォーレン・バフェットのお師匠さんで伝説的バリュー投資家)の『賢明なる投資家』ですが、キンドル版なので「分散投資」をキーワード検索すると文中に43回も出てきました。50年前も分散の重要性は変わらなかったようです。せっかくなので引用させていただきます。

大きな安全域を有する二〇以上の株式銘柄で分散投資をしていれば、「通常の経済状況」下では、好成績を収められる可能性が非常に高い。代表的な一流銘柄に投資する場合に、高度の洞察力や先見の明などを必要としないのはこのためである。数年以上にわたる買い付け期間を通じてこうした株式を平均株価水準で購入していれば、この取得原価によって十分なる安全域がもたらされるのである。

引用:賢明なる投資家 ベンジャミン・グレアム パンローリング株式会社

後半はドルコスト平均法のことですね。(本書の別の章で解説もされています。)50年前も今も投資の本質は変わらないようです。

ただ複数の銘柄を買えば分散できるわけではない!?

うさぎくん
うさぎくん

5銘柄じゃ少ない!?でも、これから双日とかも買いましていくし!

バフェットも買うくらいだから将来性もあるし、決算もまずまずだったよ。

ふくろうさん
ふくろうさん

うさぎくんは商社好きなの?

全部総合商社じゃ同じようなタイミングで下がったり、減配するかもしれないわよ。業種を分散させないと意味は薄いわ。

同じ業界では市況から同じような影響をうけるため、値動きが似てきます。そのため、高配当株投資の解説の際に、景気敏感株とディフェンシブ銘柄を分け、業種も分散させたほうが良いとお伝えしました。分散の効果を見るために下に執筆時で一番新しい、東証のマンスリーレポートを引用させていただきます。

引用:日本取引所グループ

業種別で見ると商社・卸売が伸び、不動産は振るいませんでした。ちなみに月の東証株価平均は1.18%のプラスで全業種に分散している日経平均の値動きは緩やかでした。このように分散を行うと値動きが緩やかになります。5銘柄にしか投資できない場合でも、商社・機械・食品・電力・情報通信の5銘柄で分散すれば値動きも変わってくる可能性が高いです。

避けられない「システマティック・リスク」、分散すると消えていく「非システマティック・リスク」

うさぎくん
うさぎくん

分散するとなんとなく安心っていうのは感じるけど、分散する根拠ってあるんですか?

ふくろうさん
ふくろうさん

乱暴に言うと分散すると意味のないリスクが消えるから、リスクの割にリターンが良くなるのよ。

株を持っていると景気の影響を受けて上がったり下がったりするので、リスクを負担しなければなりません。しかし、リスクを負っているからこそリターンを得ることができます。(いわいる、リスクプレミアムですね。)

しかし、このリスクの中には分散をすることで取り除くことができる「非システマティック・リスク」があります。例えば、企業の不正や製品の欠陥があって半値になれば、その会社1社の株しか持ってなければ50%の損害ですが、100社に均等分散していれば0.5%の損害です。

残りは株からリターンを得るためにどうしてもひつような「システマティック・リスク」が残ります。

リスクを下げるには少なくとも30銘柄、できれば60銘柄以上の分散を!

うさぎくん
うさぎくん

具体的には何銘柄くらい買えば、この非システマティック・リスクは減らせるんですか?

ふくろうさん
ふくろうさん

単元未満株で分散が簡単になった今では最低30銘柄。

倍の60銘柄を目標に分散するといいわ。

さっきに説明したけど業種をしっかり分散させるのも重要よ。

リスクは最初のうちは銘柄を追加するごとに大きく低下しますが、分散数が多くなると下がらなくなってきます。(非システマティック・リスクがほとんどなくなって、システマティック・リスクのみが残る状態)

景気敏感株で30銘柄以上、ディフェンシブ銘柄で30銘柄以上を目標に分散してしていきましょう。(ちなみに管理人は執筆時で74銘柄に分散しています。)

なお、この目安はインデックス投資のバイブル『ウォール街のランダム・ウォーカー』から採用させていただきました。せっかくなので引用させていただきます。

ポートフォリオに三〇銘柄を組み入れた時点で、非システマティック・リスクがかなり取り除かれ、そこからさらに分散投資を行っても、リスクはあまり低下しなくなる。 よく分散された六〇の銘柄を組み入れると、非システマティック・リスクはほとんど取り除かれ、それ以後このポートフォリオは(ベータが一だから)ほとんど市場と同じように動くようになる。

引用:ウォール街のランダム・ウォーカー 日本経済新聞出版社

*本書では組み入れた銘柄のベータ(市場の値動きに反応する傾向)の平均が1になるようにポートフォリオを組んで実験をしています。

また、図もリスクの低減をイメージしやすいので引用させていただきます。

引用:ウォール街のランダム・ウォーカー 日本経済新聞出版社

大きく増やすための集中投資と割り切る人は分散させるデメリットも・・・

うさぎくん
うさぎくん

じゃあぼくの銘柄選びは悪かったってこと・・・

商社ばかりじゃ、分散も意味がないのか~

ふくろうさん
ふくろうさん

同じ業種でも別の会社だから似ていても違う値動きはするし、1社に悪いニュースが合っても影響が減らせるわ。うさぎくんのスタイルに合わないだけで業種を絞って集中するのも投資手法よ。

分散投資することで「非システマティック・リスク」が取り除かれ、リスクに対するリターンが改善し、値動きも穏やかになる傾向があります。しかし、値動きが穏やかになる分、比較的短期で売買をして値上がり益を狙っていく方法には向きません。分散すると安定性が高まる分、爆発力が損なわれます。

よって値動きが大きい銘柄や業種に絞って集中投資をすることは、ご自身の投資スタイルに合っていれば実行すべきです。ただ、一銘柄に集中するよりは値動きが似た複数銘柄を購入したほうが個別企業への悪材料の影響が小さくなります。

例えば、集中投資に選ばれることの多いGAFAMならアップル1社を買うのではなく、グーグル、メタ、マイクロソフト、アマゾンと一緒に買いましょう。(これらは強力なビジネスモデルを構築している反面、訴訟や規制の対象として狙われる可能性が高く、個別のリスクが高めです。)

結論:個別株は単元未満株で分散してリターンを改善、インデックスファンドは分散済みなのがうれしい

うさぎくん
うさぎくん

よーし、次からの買い増しでいろいろな業種を買ってキレイな分散を目指すぞ!

ふくろうさん
ふくろうさん

安定した収入のある場合は、買い増すことでバランスのいいポートフォリオを作っていくといいわ。ほとんどのインデックスファンドは十分に分散済みだからそのまま買い増していくといいわね。

「非システマティック・リスク」はバランスよく分散すると減らすことのできるリスクなので、みなさんも日本の個別株に投資する場合は、最低30銘柄、できれば60銘柄以上を目標にポートフォリオを組みましょう30銘柄も探すのが大変という方には過去の記事の作成したポートフォリオ構成例を参考にしてください。

多くのインデックスファンドは「非システマティック・リスク」がほぼ存在しないくらいには分散されているので、これはインデックス投資の利点ですね。

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