
外国株へのインデックス投資の素晴らしさはよくわかったんですけど、為替の影響も心配だな~やっぱり、日本株はダメなのかな

ダメなどころか以前よりも見直されているわ
為替の影響も受けないし、税制上も有利よ
この本の紹介している方法なら再現性も高いし、読んでみたら?
この記事では、日本の高配当株への投資法を記した『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資 ど素人サラリーマンが元手5万円スタートでできた!』(長期株式投資著)を要約と解説を行っていきます。
これまでにも日本の高配当株への投資を扱った本はありましたが、売却も視野に入れた運用であるため、多くの方に一定の成果が見込める再現性が乏しいという問題がありました。本書では、株式購入後に基本的には売却せず長期保有するという運用方針のため、従来型の日本株投資よりも高い再現性が期待でき、多くの方におすすめできる内容となっています。
こんな方におすすめの記事です。
- 投資はしてみたいけど、海外への投資に不安を覚える方
- インデックス投資だけを行っている方
- 海外の高配当株投資をしていけど、日本株に投資していない方
- 暴落をチャンスに変えたい方
- 不労所得として月々の収入を増やしたい方
- NISA口座以外でも運用を考えていて配当控除で有利になる方(年収1000万までが目安、できれば600万までだと税制メリットが非常に大きいです。)
長期株式投資氏の勧める高配当株投資はどのようなスタイル?
長期株式投資氏は利回りの高い日本の財務優良な大型高配当株へ投資し、配当金を再投資するという投資方針で運用されています。
*高配当株投資についての基礎知識が十分でないと感じられる方は、まずはこちらの記事からご覧になってみてください。
日本の高配当株を対象にした書籍はあまり多くはありませんが、本書を除くと管理人は「10万円から始める高配当株投資術」(坂本彰著)、「株初心者も資産が増やせる高配当株投資」(藤本壱著)の2冊を蔵書しています。銘柄選びにはとても参考になりましたが、どちらも売却を視野に入れた投資法であるため、売却のタイミングを読む必要があり、再現性という点では高くないと感じました。*その分、うまくタイミングを読めれば、大きな利益が出せますが・・・
長期株式投資氏は基本的に売却を考えず、長期保有するバイ・アンド・ホールド戦略を取っています。配当による株主還元に積極的な企業の株を買うので、将来的な配当の増加も見込め、財務優良な大型株中心の分散したポートフォリオを組むことで倒産リスクなども低く抑えています。株価を予測することは難しいですが、配当金は企業の姿勢によって左右する部分が大きく、株価より予測が効くという性質があるため、資産を増やす再現性が従来の投資手法よりも高くなっています。
また、著者の投資方法は知る人ぞ知るジェレミー・シーゲル教授の「株式投資」「株式投資の未来」で展開されている教授の理論が土台にあるため、投資方法の妥当性に信頼が置けます。
投資すべき高配当株の選び方は?
本書の核として投資対象を選ぶ際に、特に重要となる「3つの投資指標」と「長期保有に適した銘柄を見抜く12カ条」について書いています。
高配当株を見つける「3つの投資指標」
とくに重要な部分ですので原文から引用させていただきます。
投資初心者がここで紹介する投資指標を学んで株式投資に臨むならば、相場で生き残る確率は1%どころではなく、数十%は上がるでしょう。それ程までに原則的な指標であり、今後の投資人生で活用して いかなくてはならないものとなります。(中略)
1.配当利回り:1年間の配当によるリターンが、投資額の何%となるのか表したもの。
2.1株利益(EPS):1年間にその会社がいくら稼いでいるのか、1株当たりで表したもの。
3.株価収益率(PER):株価が1年間の利益の何倍になっているか表したもの。
引用:オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資 角川書店![]()
管理人も日本株への高配当株投資を行っていますが、重要な指標を3つ挙げろと問われれば、この3つを上げるでしょう。この3つを知っているだけでも罠銘柄を避けるのにかなり役立ちます。
著者程の実績があるわではありませんが、管理人の投資基準も参照したい方は下記の記事を御覧ください。
長期保有に適した銘柄を見抜く12カ条
本書では12カ条となっていますが、冗長になるのでまとめて紹介できる項目は管理人の方でまとめさせていただきます。
配当と業績が安定している銘柄を選ぶ。業界トップ企業、自社株買い、連続増配する企業はなお良い。
実際に配当の実績を見ていくとわかるのですが、定評のある高配当株は配当が安定している企業が多いです。かつて減益時や不況下でも減配しなかった銘柄は将来の配当も期待できます。
自社株買いする企業は株を償却することで一株当たり利益が上がります。連続増配企業は将来的に配当が増える可能性が高いです。そのため、どちらの企業も株主に好まれ株価が伸びやすいです。
業績については、安定していることで長期的な収益が期待できます。(ただし、景気敏感株は業績の振れ幅は大きいので、こちらは必須項目ではありません。)また、業界トップの企業は業績が良い場合が多く、長期的な投資に向きます。
PERはバリュートラップの回避を意識して見る。そして、過去5年の平均を確認する。
PERは一株当たり利益が減少すると、指標が悪くなる性質があります。そのため、買い付け時にPERが割安でも一株当たり利益が減るとPERが割高な水準に変わることがあります。これがバリュートラップと呼ばれるものです。避けるためには業績が安定している株を買う必要があります。
PERは景気後退時には、企業の業績が一気に悪化し、異常な数値が出ることがあります。そのため、単年ではなく、5年間の平均を取ってPERを判断すると精度が上がります。
儲かるセクターが存在する。
著者は儲かるセクターとして、ヘルスケア(医薬品等)、トイレタリー(生活必需品)、エネルギーを挙げています。ただし、この考えは管理人も蔵書している「株式投資の未来」(ジェレミー・シーゲル著)のアメリカのデータに基づいているように思います。日本にもどの程度当てはまるかは確証がもてません。ヘルスケアは医薬品の承認が通ってしまえば、高い利益率で販売できますし、トイレタリーは不景気でも売上が落ちづらい特性を持っています。「株式投資の未来」は2000年代出版のため、エネルギーについては脱炭素化の影響が未知数です。
暴落に耐える「安全域」を確保する。
管理人も蔵書しているバリュー株投資の名著「賢明なる投資家」(ベンジャミン・グレアム著)で説かれています。株式を安く取得できていれば、暴落時にも大きくは下落しないので、割安な株を取得することが大切という考え方です。
具体的にはPERを参照して割高(概ね20倍が目安)な株を買わない。精神力は必要ですが暴落時に買い向かうなどの行動が有効です。
できる限り核心部分を要約するように努めていますが、至らない点もあるかもしれません。ここまでを読んで更に知りたいと思われた方はぜひ原著を読んでみてください。
必見!死ぬまで持ちたい17銘柄
著者が18年間の投資人生でたどり着いた永久に保有したい17の銘柄です。なにを買って良いか迷われた方には必ず参考になるものと思います

わかりやすく書かれているけど、やっぱり初心者の判断で銘柄を選ぶのは難しいよ

第6章に著者が厳選した優良銘柄が載っているわ
文句の付けようがない選定だから参考にしてみるといいわ
ディフェンシブ銘柄
- たばこ:JT (2914)
- 生活必需品:花王 (4452)
- 医薬品:アステラス製薬 (4503)
- 医薬品:大塚ホールディングス (4578)
- 通信:NTT (9432)
- 通信:KDDI (9433)
- 保険:東京海上ホールディングス (8766)
- その他:日本取引所グループ (8697)
景気敏感株
- エネルギー:INPEX (1605)
- ゴム:ブリヂストン (5108)
- 機械:コマツ (6301)
- 機械:クボタ (6326)
- 商社:伊藤忠商事 (8001)
- 商社:三井物産 (8031)
- 商社:三菱商事 (8058)
- 銀行:三菱UFJフィナンシャルグループ (8306)
- 銀行:三井住友フィナンシャルグループ (8316)
管理人はこの内、花王と大塚ホールディングスを除いた15銘柄を保有しています。どれも日本を代表する銘柄であり、異論を挟むことが難しい選定です。
ちなみに管理人が投資しない銘柄の理由付けとしては、花王は連続増配銘柄である反面、利回りが低く、PERが割高であるため、大塚ホールディングスは単元未満株の投資では優待がもらえないためです。
結論:名著の教えによって磨かれた日本の高配当株投資に教科書!

この本は私も読んできた名著の教えを反映している骨太な本よ。
日本株に投資するならぜひ参考にしてね。

ぼくなら配当控除も効くし、つみたてNISA一緒にはじめてみます♪まずはおすすめの17銘柄から始めて、自分で選べるように頑張っていくぞ!
本書の本文中には沢山の投資本の名前が出てきますが、いずれも名著揃いです。そんな名著の教えに支えられた骨太な一冊ですので、非常におすすめできます。
今回は投資法や銘柄選びに絞って要約したため、割愛しましたが投資を継続するための仕組み作りの章や、ウォーレン・バフェットをはじめとする投資のレジェンドの名言を紹介し、投資に向かうメンタルを養う章も力を入れて執筆されています。管理人が特に得るものが多かったのは暴落時の下落率の紹介でした。事前に知っておくことで暴落への心構えができるとともに、その時に預金があれば買い向かう判断につなげられるからです。
投資初心者の方には特に1章の著者の投資人生を読んで、個別株投資へのイメージを掴んでもらえればと思います。
高配当株のジャンルではベストセラーとなっているだけあって、内容が濃い1冊となっています。ぜひ参考にしていただければと思います。
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